空き家をリノベーションするメリット
日本全国で空き家の増加が問題視されています。適正に管理されないまま家屋が放置されれば、老朽化の速度は速まり、さまざまな危険要因を孕むようになります。こうした傾向は地方において著しく、新潟市も例外ではありません。対策としては、取り壊す以外にリノベーションするという選択肢もあります。
特定空き家に指定されるリスクが減る
そもそも新潟市で空き家のオーナーになるのは、どのようなシチュエーションが想定されるのでしょうか。典型的なのは、新潟市に実家があり、東京などの県外で就職したり家族をもっていたりしていたところ、実家の親が死亡するなどして相続が発生した場合です。生活の本拠は新潟市以外にすでに構えているので、あえてUターンしたりセカンドライフを実家で過ごしたりといった事情がない限り、空き家はそのまま放置される可能性が高くなります。
もちろん、中には実家を含めた財産を処分するために、家を取り壊して第三者に売却する可能性を探る人がいるかもしれません。しかし費用も手間もかかるので、多くはそのままになっています。また、更地にすると固定資産税の評価額が6倍に跳ね上がるので、税負担の増加を避けるためにあえて空き家のまま放置することも珍しくありません。
ところが最近では、長期間管理がされないまま放置され倒壊のリスクが高い場合や、不審者の巣窟になり防犯上の危険要因になっている、あるいは害虫などの発生源といった隣人や通行人などに危険をおよぼす家屋は、「特定空き家」に指定されることになりました。
この指定を受けると取り壊し命令が出されたり、固定資産税減免措置が撤回されて税負担が飛躍的に増加したりといったリスクが高くなります。リノベーションをすることで、このような指定を受けることは回避できます。
実際にどれほどの費用がかかるのか
リノベーションの意義を最初に確認しておくと、新築当時を上回る住宅性能を付与するために、住宅の構造や外壁・内装・各種設備の更新やブラッシュアップを図る工事のことです。このように言葉の意義からも明らかなように、資産価値を大きく上げることができるのもメリットの一つです。
建築当初は見向きもされなかった耐震性や気密性能・エコハウスなど現在の住宅建築のニーズに適合した点をブラッシュアップすれば、資産価値の上昇だけでなく、新築住宅より広い間取りで住み心地も快適な住宅を実現できるかもしれません。このように空き家をリノベーションすることには、行政当局からのペナルティ回避や資産価値上昇などいろいろなメリットがあります。
しかし大事なことは、実際にはどれほどの予算を組めば、住宅性能のアップなどのメリットを享受できるかということです。古い家では水回りのアップデートは必須といえます。キッチンや浴室などでは100~150万円程度は見る必要があるでしょう。
また昭和時代に建築されたような古い物件では、旧建築基準法が適用されているので耐震性に問題を抱えていることもあります。耐震性向上のための工事も、規模によっては数百万円に上ることもあります。イメージを一新するには外壁塗装なども必須で、足場を組む必要などもあるため、概ね100万円前後は覚悟する必要があります。空き家のリノベーションにはそれなりのお金は必要です。
活用法を検討、補助金制度もチェック
新潟市で空き家のリノベーションを成功に導くには、相応の出費を想定する必要があります。まとまったお金を投入するなら、後悔することがないように完成後のプランの青写真を具体的に描いておくことがポイントです。代表的な選択肢には、自分で住む・賃貸にだす・シェアハウスに活用するなどが想定されます。
自分で住むとなると定年後のセカンドライフを送るために、空き家をリノベーションすることが考えられます。老後の生活を送る場所として、つまり終の棲家として利用することを想定するなら、バリアフリー仕様にするのは必須です。新潟市では過酷な冬の環境に備えて断熱材を入れたり、ガラスを二重にしたりと気密性を高めることも必要になります。トイレやキッチンなども最新式に取り換えることになるでしょう。
賃貸物件にするなら、古民家民宿としてオーナーを募り貸し出すという方法があります。ニーズは限定されますが、地域一体が観光スポットとして知名度があるエリアであれば、あながち難しいというわけでもありません。しかし宿泊施設のレベルにリノベーションするには、かなりの予算が必要でしょう。
ここで利用を検討したいのが、自治体レベルで用意されている空き家リノベーションについての補助金制度です。助成対象になるには条件がありますが、活用することで費用の足しにできます。該当エリアで補助金制度が運用されていないかチェックしてみてください。
空き家をそのまま放置すると、倒壊のリスクや防犯上も好ましくないので現在では「特定空き家」に指定され、いろいろな不利益を受ける可能性があります。そのような事態を回避するにはリノベーションを実施し、新たな住まいとして住宅性能をアップさせることが求められます。